危機ヲ煽ルヲ自己成就セルコトヲ願フ不逞ノ言説ナリト指摘セル人モ有ラン
ガ、予言ノ自己成就ハ自己不成就モアリ。先ニ憂ヒテ後ニ楽シム者ハタヘズ
「オマヘノイヒシコト外レタデハナイカ」ト責メラレルモノナリ。消滅セル
媒介者ナリ。

会沢正志斎の『新論』にも、「報本反始」をくどいほど説き、英雄の志と
人民の働きをいい、「変動して居らざる」ものを天地の道として、「断乎、
天下を必死の地に置く」ことを強調している。天下を必死の地に置く(
「天下を必死の地に置く」ニ傍点アリ)とは、とりもなおさず、草莽の
士が身を挺して一つの危機を醸成する(「醸成する」ニ傍点アリ)ことで
ある。危機はここでは所与の条件ではなく、自から作りなすものである。
村上一郎『草莽論』。p.140)


但シ、煽動ハ恫喝・脅迫ニ通ズルトコロアリ。徒ラニ「パニック」ヲ醸成シテ
平穏無事ヲ駆逐セルトコロモアリ。状況ニヨリ、人民ノ智恵ニヨリ、予防ニモ
ナリ、恐慌ニモナル。予期ノ問題圏ナリ。準備ハ必要ナリ。或程度予期ノ他ニ
伝染スルハ已ムヲ得ズ(ソレガ集団化セラルトモ)。


(近頃、質ヲ問ハズ、発表セル事中ニ意義アリトノ心境ニ達ス)。


写真ハ中島莞爾。1912年生マレ。