瀧うた

大岡信折々のうた」(朝日新聞)をもっと真面目に読まにゃあいかん。
反省する。これから読む。何冊出てるんだろう。
最近のそれから。瀧関係。中上=金原「落ち水やそのたびごとの新しさ」と
関連して。

後(うしろ)より押され落ちつぐ滝の水
        檜 紀代

総身(そうしん)に滝音つめて戻りけり
        黛 執

前の句について大岡さんは

何しろ昭和六(一九三一)年に虚子選「新日本名勝俳句」に入選した後藤夜半の
「滝の上に水現れて落ちにけり」が、客観描写の真髄と称揚されて以来、単純な
対象だけにこれを抜くことは難しい。右の句は越え得たかどうか。

と評釈されているが、しかし「押され落ちつぐ」とは見事だね。私には達し
得ないわ。
後者の「総身」は造語ではなく辞書にある言葉。ざわざわと身体にいまだに
滝の轟音の残響があるところの描出。ついつい口ずさみたくなる秀句だなあ。