○イトイさんのダーリン(ドラゴン)・コラムを愛読しているものの、今回の「政治は
エライわけじゃない」はイトイさんらしくねえなあと思ったこと。相変わらず私の
思考は「風吹けば桶屋が儲かる」的なものだから、とりとめがないんだが、たとえば、
『インターネット的』(PHP新書)で、「点滅する人格」という魅力的なタームを
挙げている人が(点滅する役割といいかえてもいいか)、つまり我々にせよ消費者にせよ
それはとりとめがないというものなのだ、だから生産者は大変だという文脈がそこには
あったと思う(p.133-138)。根を詰めすぎると消耗するししかし手抜きをするわけには
いかん。生産者はそういうとりとめのない消費者(ある意味身勝手な)を相手にする
んだという自覚。そういうことを分かっているイトイさんが、今回では、なんだか、
「政治と非政治」「生活と非生活」という二項対立を迫っているように読めるところが
あるわけよ(と私が断定することが言い古されているが)。またあの文章はどっかで、「言論の
自由」を抑圧するところもあるんではないかと思ったりする。「どっかで」であってきちんと
論証できないんだけど。勿論、東京の雰囲気という文脈があるんだろうけど、誤読される可能性は
あるわな、と。勿論、「批判」ってのは、それ自体、痛い自意識や症候を露呈するわけで
(私の場合)、あとで読み返すと、どす黒いものを胸のうちで感じるんだけど、しかしこれは
言い訳だな。