○クーラーの思想性つうか、倒錯性。甘い毒。寒気のなかそれを暖をとることで中和する
ことは古来から行われてきたが、暑気のなか人工的に冷気をつくり中和するという思想、
そこからおこる現象には、なにか、倒錯的な、異様な贅沢というのか、変なものがある。
勿論、クーラーは環境に悪いし、身体にもよくない。身体の根気を弱らせるところがある
とは思う。でもこのクーラーの思想、エアコンの思想性。そういうものを小説のなかで巧く
取り入れているのは村上春樹だったっけと思って、初期の小説を繙いてみたが、ちょっと
分からなかった。貧乏くさい話になったか?。
○たまたま部屋に転がっていた『展望』1974年8月号(筑摩)に、柳川啓一さんが姉崎
正治(嘲風)と柳田を比較する文章を載せられている。姉崎は私の知るかぎりでは、改造社
円本の樗牛の巻に付随してある。三人。あと一人、笹川臨風だったか。姉崎は日本の宗教学
講座の祖であるのに、死後はほとんど忘却された存在である。柳川さんはそれを疑問にも思い、
反省もなさっている。官学と野学(柳田)との対比において。柳川さんは相当にユニーク
なかただったと聞くのだが。私はどうも柳川さんと、あと早稲田のどなたかを混同している
節がある。フィールドワークの手法にあって、たとえば潜入調査などの指導において。