昨日のよしもとサンサン。次課長の出演。河本、関西に戻って来い。というわけには
いかんわな・・・。


ちょっと思いつくまま書いてみる。
漫才の分類学。何度も試みたが、常に失敗した。クリアにならない。
基本的にはボケ主導型とツッコミ管理型とがあると考えている。
ツッコミ管理型・・・典型・理想型は、私にとっては三遊亭小円・木村栄子。
かつみ・さゆりだとか、飛石連休などもそのタイプ。ポイントはボケがツッコミの管理の
枠を飛び出ることにある。つまり、名言にあるが、師の文言よりも師の見ようとしている
ことを獲得する(ラカン的にいえば、欲望から欲動へ、に似ている)。つまりツッコミ
管理型は非管理になったときにかたちを得る。かつみ・さゆりのここのところの「伸び悩み」
はそこを得ていないから。ボケ側が単にツッコミ側の指導のままにとどまるかぎり、もひとつ、
はじかない。イニシアティヴをもたないと。
それとこのタイプは、どこかで読んだが、猿回しだとか腹話術と単に思われている節が
あるのだが、それは違う。腹話術もそう。漫才は一般的に役割が中途に入れ替わることが
一番の醍醐味であって、猿を回している側がいつの間にか回されているところに滑稽味がある。
そこらへんがインタラクティヴ・オルタナで入れ替わる。一方的にどちらかが単に支配して
いるとかはありえない。
ボケ主導型、これが一般的には多い。均衡型に見えるものは実際はボケ主導になっている
ことが多い。
これは一歩間違うと、漫談にサクラが付き合っているものになりかねないものもあるけど。
漫談をする勇気もないものもある(勿論、押しではない、引きのボケの妙味もあるんだが)。
ただそこの共同性の仮構を単に批難することには野暮もあるわけで。仮構のものでも場という
ものがないと、上演がない。
一般的に我々は他人の会話を聞くことは好きなわけだ。特にそのやりとりに曲折があって
落着があるものであれば。


東京にはもともとツッコミ文化が希薄だという。
ひとつは高踏的だという理由。言挙げを嫌うから。しかしそれは東京ではツッコミが言挙げに
なりやすいという面もあるかもしれない。ツッコミはベタだし、相互に信頼がないと成立しにくい。
シャンプーハットなんかも、初期は、東京の影響もあった当時の大阪の気弱な若者の人間関係を
背景として、相手のボケをそのまま認めるというところがあったと思う。後にそれが彼ら独自の
スタイルになっていったと思うんだけど。
ただツッコミがないと、チェックがないし、交差点というのか、節目がない。軸がなくなる。
だからツッコミしないのは粋かもしれないが、下手をすると、とんでもない馬鹿げたものに
知らず知らず足をすくわれることもありえる。


http://www.1101.com/darling_column/archive/1228.html
これが私の頭に付いている。難しい文章だよな。
さまーず(バカルディ)の三村のツッコミなんかを想起もさせる。
三村のは、ツッコミのパロディだと思う。バッファロー吾郎的な、「ベタをネタにする」
というやつか。それも基本はベタなのだが。
決定不能性というやつは、別にそこに戯れているわけではなくって、前提だから。
避けられない。文脈依存。
(「で、アタマが良かろうが悪かろうがやらなあかんタスクは一緒なわけですよ」などと
仲間意識で書いていたやつが、浅田彰に早速「ネタだのベタだの、(バッカじゃねえの)」と
いうような感じで見下されてんのに、なんの反応もない。はったりだったのか)。


明石家電視台は一回に一度、あるかないかだが、さんまさんとショージさんとの間に、
真剣勝負というのか、ガチで、アドリブ・即興のくすぐりが起こることがあって、その
一瞬に出会うことが至福である。創造に立ち会うというやつ(これがあって彼らの関係は
どんどん進化している)。これがあるから見逃せない。しかしこのニコイチは、系統としては、
どこに位置するのか。


爆笑問題の田中だとかくりぃむしちゅー海砂利水魚)の上田だとか、千鳥のノブにも
ある傾向なのだが、誰かがボケたらすぐツッコミを入れるのはたしかに鉄則だけど、
場で相方がボケたときに、他の人間にツッコマせないのは、あれは、やめてほしい。
ツッコミの独占はむしろ相方を(ひいては自分を)下げている。


ボケとボケとのかち合い。お互いがお互いを減殺する。ある人が面白くないのではない。
役割上の要請なのだ。役割取得、相互行為。


ワカナ・一郎、ミスワカサ・島ひろし、島田洋乃介今喜多代、大空遊平かほりなどの
系統は、ツッコミ管理なのかボケ主導なのか。蝶々雄二はボケ主導だったけど。


(昭和漫才については、去年まで放送されていた、AM-NHKの「名人寄席」に頼りました*1)。

*1:11/22に追記。「名人寄席」の水曜日の「漫才篇」のこと。澤田隆治さん解説。