Pulse (Non-Blinking)


http://www.miyadai.com/index.php?itemid=429#trackback

http://cottonwoodhill.web.fc2.com/music/1970/Faust.html


宮台先生はかなり前からFaustを推奨せられていて、ために買っていたのだが(1stと
scondの一枚化のcd)、やはりこういうものはもっと若いうちに聴くべきだったの
だろうな、今となってはしんどいものがある。出会いが悪い、とは要するにこちらに
才がない。前半でしんどいから、その「ぬるい」といわれる"so far"まで聴けて
いない。でも上では宮台先生自身が、昔を思い出したいという以外は疲れて聴けない、と
いうことは書いておられるんだ("Ⅳ"を除いて)。


宮台先生は一貫して、Pink Floyd(以下、P-F)については、ぬるい、とろいという評価。
私はやはり好きなんだけど。"the Wall"の二枚目の"in the Flesh"だとかはとくに。
アイディアではなく、技術に惹かれるところ多し。


考えてみれば、ZeppelinやP-Fについて私が「分かった」のはそれほど古くなく、
Viet Namに滞在していたころ。やっぱ変な雰囲気があるんだな、仏教的というのか
インド的というのか。それで分かったところがある。日本語をほとんど使って
いなかったし、Viet Namについて考えると、頭が混乱する。


昨日にNHK衛星第二でP-Fのライヴ(1994年)が放映されていた。
あれは"The Dark Side of the Moon"が原版で、それのライヴ版のコピーが
Viet Namでも売られていた。
(追記:「Pulse」の二枚目だな。コピーだから、cdには「P.u.i.s.e」と
誤植されている=笑。だから昨日のライヴ放映がまさしく原版であるようだ)。


或る、ぬるくとろい、感傷的な思い出がある(笑)。(以下、なかばフィクション)


私の越南語の少人数のクラス(日韓混合)の華ともいうべき、T摩美の女学生、
当時20歳の女の子、170cmもの長身で肉感的な美人であった或る女の子がいた。
もはや名前も忘れ、顔もおぼろげ。モデルのバイトをしていたというのもよく分かる。
美大生だからエキセントリックな格好をしていた。


彼女と同じバックパッカー街に私も住んでいて、たまに晩飯を一緒に食べていた。
彼女は健啖家だった。よく喋り、よく食べるし、よく呑む(酒ね)。気風(きっぷ)が
好かった。
私は徐々に、どうも彼女に惚れていったらしい。淡い恋心を抱いていた。彼女には
日本に当然、彼氏がいるのだけれども、そんなことはどうでも良かった。


彼女がある日、帰国してしまったのだが、途端に生活から燈が消えた。
いや、帰ると前々から当然聞かされているから、徐々に気が沈んでいたのだけれど、
(ここらへんを描写できれば楽しいんだが)、
ついに彼女が帰ってしまった夜は、これはそういう日本語から隔絶された特殊な
環境によるところが大きいのだが、もうダメだった。耐えられなかった。
あまりの孤独感に気が狂いそうになった。ああいうのは初めてだな。


その晩は"Great Gig in the Sky"("Pulse"の16th)を延々とリピート
して、聴いていた。心のなかは涙で泣き濡れていたのだが、もはやそんな表現の
すべを知らず。代わりに女性の二人のヴォーカルに泣いて貰った。このなかでgig
とはいうけれど、号泣というのか、噎(むせ)んで、咳き込むほどに、女性は
「哭して」いる。表面的にはともかく私の心のなかはまさしくそんな感じ。


ソフィア・コッポラの"Lost in Translation"(これは日本や東京を主題にして
いるわけではなく、アメリカ人の、それも特定ではない、一般のそれの主体の
危機感などを問題にしているのだろう)を後に見て、よく分かった。
transitの人間のあいだの、偽であり真の感情。


彼女は自身の住んでいた安い家賃の、しかしそれなりに広い宿の借権を私に
譲ってくれた。
そこの机には、ガラスの板があって、彼女はそこに自身の写真を挟んでいた。
引き払う(引継ぎの)とき、彼女はその写真を採ろうとした。私は採ってくれるなと
思ったがなぜか黙っていた。剽軽に、一枚思い出に何か写真をくれよということすら
できなかった(持っているかどうかわかんないし)。惚れている雰囲気を露骨に醸して
しまうことを怖れたんだろうな。だってねえ、帰る寸前になって、そんな気を見せられても
困るだけだよ。
ところが写真がガラスにへばりついてしまっていて、どんなに努力しても引き
剥がせない(やろうとすると破れてしまう)。代わってみろといって私もやったが
取れない。彼女はそれを諦めた。ラッキー!と私は思った。その晩、その写真のなかの
彼女をあらためて見た。写真より実物のほうが可愛らしく綺麗だった。


(そうそう、思い出してきた、そこは彼女の住んでいた部屋で、そういう
「残り香」、そういう雰囲気を感じさせたために、余計に私は、彼女の不在に憤り苦しんだ
のだった。私が"gig"を聴きながら、心のなかで号泣していたのは、彼女のそれまで日常に
使っていたベッドの上に腰掛けてであった*1
彼女はそんなことは考えなかっただろう、単なる旅行者同士の善意と便宜で私に譲った
のだろうが、こちらはまるで逆だった。わざと苦しめてんのかと錯誤した)。


私が帰るとき、あらためてその写真を採ろうとしたのだが、やはり無理であった。
今もその部屋にあるはずである。
小谷野敦さんの『悲望』をちょっと真似た。しかし上は甘ったるくいい気なもんだな)。




翌日に追記:
you tubeでは、"Pulse"とヴァージョンは違うが、ライヴ・コンサートの
それとしては、
http://www.youtube.com/watch?v=ipvi_wJtmZs
http://www.youtube.com/watch?v=InOpOHfSt40
などがあった。
Bianca Antoinette?



2008/06/13に追記:
■妄想かもしれないのだが、いや妄想だろうが、しかし
http://inaw.exblog.jp/7120996/
の女の子に似ている。美輪明宏似で年齢がちかく美大生だったという
ところ。派手なファッションで奇矯で人を魅了する行動が多い。
女性からも恋されるような女の子。
うーん。こんな名前だったっけ?
背が高いだとかヴィエトナムに行っていたとかは書かれていない。
いづれにせよ美人で魅力的だった。三田佳子にも似ていたな。
違うかなぁ。

*1:キショいって?、んなことはない。