○そういえば、


を入手していたのだった。
驚くべきことは、色川さんのジャズへの親炙(用法として親炙の対象は人と
いうことだが)は戦時中だということなのだ。大抵、この世代では敗戦後から
だろう。まあその点で異常というべきところがある。戦争中これは敵性音楽
だったわけだが、古レコード屋に十銭で売っていてそれを色川さんは入手
してこっそりと聴いていたという。元海軍軍人の息子であるのだが。
この事実に私は自分のperspectiveの変更をおぼえる。まあ色川さんは
東京三中(現在文京高校)からドロップアウトしたのだが、もとはエリート
候補生だったわけで、かれは特異なのかもしれない。しかし彼のような
人は他にもいたのかもしれない。
(去年にhttp://www.seibun-ken.jp/koganeburogutop.htmを知る。
小金祥弘さん=敗戦後に経済企画庁勤務、の日記である。これは色川的というのか、
共通する体験がある。良家のお坊ちゃんなんだろうが)。
私が共感するのは、色川さんは、モダンジャズ以降よりもその以前のスウィングが
むしろ好きだと書いていること。たしかにモダンジャズ以降のアフロ・アメリカンの
自律意識、芸術化には意義を認めるものの。その「にもかかわらず」という
ところまで踏まえているところに共感をおぼえる。
ファッツ・ウォーラー、トミー・ドーシーあたりを特に好んでおられる点、
(エリントンが苦手だったことなど)、非常に共感する。キャブ・キャロウェイ、
アール・ハインズなどの名前も出ている。