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おもしろかつた。宮台先生発言。

レジスタンスというと左のイメージかもしれませんが、アメリカの極右、たとえば
ミリシアも同じです。伝統的な共同体を屠るデタラメな中央政府があれば、銃を
手にとって立ち上がり、これを討ってよしとします。中央政府が法的な不備に
よって犯罪者を捉まえられないなら、銃を手にとってこれを捉まえ、私刑
(リンチ)にしてよしとします。たとえば、チャールトン・ヘストンやクリント・
イーストウッドなどが知られていますよね。(改行)近代国民軍はそういうもの
ですが、日本の場合はそういう意味での国民軍が存在したことがない。

ただこれは西南戦争で壊滅された結果かもしれない。封建的遺制の良し悪し。
日本は後進国といっても同時代として欧米を見ていたから、ある意味では
軍制において欧米以上にラディカルな改革をしている。あるいは西郷の両義性。
もっとも農が疎外されている今日の日本において、「土地・共同性」を守ると
いうことにどれほどの動員力があるのかというツッコミもある。また農もねえ。
(以下余談。資本の有機的構成がどうしても乏しくなる農業生産においては、
物産複合(川勝平太)という側面はあるにせよ、どうしても工業に駆逐せざるを
えない。アメリカのように大規模に農業を工業化するなどの方法はあるけど。
今になってねえ、農本主義の再評価なんて、できるんだろうか)。

でも、日本では中身はどうでもよくて、箱がすべてなんですね。箱が中身にあうか
どうかを検討するようになるには、どうしたらいいのでしょうか。「参加民主主義
が十分に機能していることを前提にした徴兵制」が、決定的な手段になるで
しょう。(改行)現在の韓国には徴兵制がありますね。これは民主化を遂げて
以降の韓国が、ものすごいスピードで近代化を遂げる秘密だと思うんです。

ひとつの処方箋。ラディカルで危険ではあるが。(ただ村上一郎が軍に拘ったこと
もそこに遠因があるのかもしれない。海軍は建前は志願制だが。余談だが、森嶋
通夫氏の自叙伝第一部に、学徒動員で海兵となった森嶋さんが、降伏の退役時に
手当てが支給されたときに、拒絶感を露わにする場面がしめくくりとなっている。
これも後世の人間からすると、分かりにくいところである。もっとも私のような
役立たずのなまくら人間からすると、徴兵には迷うところはある。徴用労働に
対してどう距離をとんの?、とか)。
(6/5正午前に加筆。ちゃうがな。要するに義勇兵やんけ。それは強制というよりも
自発の問題のわけ。石原莞爾の「統制―義勇―体」のセットだとか、シュミットの
パルチザンの論理だとか。それがゲリラなのか、自称正規軍なのかどうかは
知らないが。平岡正明さんにも「隊論」つうのがあって*1、隊、組、党の語の違いを
問題にしている小論があるんだけど)。

いまの若い世代は「天皇主義は民衆をないがしろにするファシズムだ」と教わって
きたので分かりにくいかもしれない。西南の役もそうだけど、民本主義者や民権派
にはもともと、吉野朝的な「革命する天皇」のシンボルを押し立てる傾向があり
ます。これは水平社の運動にも見られます。(改行)民本主義的天皇主義や民権派
的天皇主義がありえたわけです。高岡さんもおっしゃったけど、明治憲法でさえ
君主制と民主制を両立させようとする志向がありました。

ここがゾーン。複数の意味で難解なところである。昭和天皇が機関説に立て
こもって、この「革命する天皇」を裏切ったという意見もある。さらに遡れば、
幕末から明治にかけて政争の要点でもある。と誤魔化す私。はっきり言葉になって
ないなあ。

*1:西郷隆盛における永久革命』新人物往来社・1973年