昨日はA級順位戦の谷川-羽生戦が無料公開されていた。谷川さん、ここで負けたら挑決から脱落
するどころか、降級までを心配する必要まででてくる。しかし先手なのが有利(攻撃が
得意な人はやっぱ先手を持ちたいとおもう)。近頃の谷川-羽生戦は「純化された将棋」という
印象を受けるんだが(最強手の応酬)、今回はどうか。
棋譜http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/shougi/meijin/etc/1111/kif.html
相掛かり戦。41手目の▲1七桂が谷川さんらしい積極的な手。
52手(△3四銀)〜59手(▲同銀)までが、私の棋力では全く訳分からん。難解。
おいおい勉強していかにゃ。
56手目の△2六歩、いやらしい手だなあ、手筋だが。しかし谷川さん、それを見切って
同飛。実際、ここは受けきれない。攻めるよりない。
あと2一ではなく2二に飛車が成る、だとか1一から8一に龍が展開していくだとか、
参考になったというか、こうじっくり指されるとは思わなかった。もっとばっさり
行くのかと思ったが、それは無理なのか。
谷川さんの寄せと羽生さんのしのぎ(受けながら攻めもみる)。よくある展開であり、
羽生さんは苦しいながらも、こういう展開は得意中の得意。相手がなにかミスったら
そのまま勝ってしまう。羽生さん相手の優勢の将棋を勝ち切ることが滅茶難しいらしい。
タイトル戦などでも、第一局で挑戦者、序盤・中盤までは接戦でも優勢にもちこみながら
終盤で途端にバランスを崩したり、どうも指し回しが冴えなくなってきて、そんなことに
なったら羽生さん、そこを突くのが卓越だとか卓抜だとかを超えている。心理戦にも強い。
相手の攻め駒を責めてみたり、わざと攻め急がして無理攻めを強要したり、とにかくあせらす
ことに長けている。*1それで受けと攻めをうまく按配させて、うまく組み合わせ、結局、
自分側に一手が余るように設計する。
ところで、今回の谷川さんはその羽生流で勝ったように私には思えた。
とくに91手目の▲6八金、97手目の▲5九飛など。まあ双方とも相手の攻め駒を獲って
使うという目的もあるけれども、しかしこういう交渉術は今までの谷川さんの棋譜
頻出されていたっけ?。この二手にはちょっと驚いた。羽生さんの長所を吸収するとは
こういうテクニックなのだろうか。
105手目の▲1四角成が決め手。そっか、こういう利き(効き?)のあるところに
成るわけね。ここから後は私でも読めた。

*1:二日後に追記。しかし総体=均衡として将棋を把握するかぎり、それは全く正当的な戦術である。否定的にいわれるいわれはない。