革新官僚については、このはてなのキーワード注釈において、結構、調べ
られている。奥村喜和男(逓信省出身)、美濃部洋次(商工省出身)、毛里英於測
(大蔵省出身)、迫水久常(大蔵省出身)などの名前が挙げられている。
しかし革新官僚について考えるためには、新官僚についても考えねば
ならず、


http://www.soc.hit-u.ac.jp/thesis/doctor/99/summary/won.html
http://www.soc.hit-u.ac.jp/thesis/doctor/99/exam/won.html


この元智妍さんの博士論文要旨(1997年)によって、研究史やその概観について
知れる。あと当然、「革新軍人」ともいうべき、永田鉄山石原莞爾、片倉衷、
武藤章、有末精三、他、あるいはその周辺にいた矢次一夫などの人間も見ねば
ならない。この革新軍人のグループが国運を傾けたかどにより、権威を喪失するに
いたった。代わりにアメリカ軍がそこに入ってきたのだが。これがはたして
良かったのかどうかである。村上一郎さんの軍隊論・戦争論もそこに関わるもの
だろう。(これら三つのグループは、いづれも後藤新平的な、科学的統治を目指す
立場を継承している。1932年の文官分限令改正はそれの象徴である。山之内靖
「参加と動員」=『システム社会の現代的位相』p.106-107*1を参照。尤もこの改正
の背景にはブルジョワ政治に右往左往されることへの防御のみならず、当時の無産
運動の盛り上がりへの警戒も大きな要因だったと私は想像する)。
(あと、科学的統治については、勝村誠さんの次のページ、
http://www.ritsumei.ac.jp/~katzmak/kenkyu/kagaku/kaidai.html
大河内正敏による「科学主義工業」の存在も考えねばならない)。

*1:岩波書店・1996年