承前

第六章 侮辱の罪
第七十三条 上官を其の面前に於て侮辱したる者は三年以下の懲役又は禁錮に処す。(改行)
       文書、図画若は偶像を公示し又は演説を為し其の他公然の方法を以て上官を侮辱
       したる者は五年以下の懲役又は禁錮に処す。
第七十四条 哨兵を其の面前に於て侮辱したる者は二年以下の懲役又は禁錮に処す。

この第七十四条も第二条第二号の、陸軍軍人以外の者も視野に入れている法。

第七章 逃亡の罪
第七十五条 故なく職役を離れ又は職役に就かざる者は左の区別に従て処断す。
一 敵前なるときは死刑、無期若は五年以上の懲役又は禁錮に処す。
二 戦時、軍中又は戒厳地境に在りて三日を過ぎたるときは五年以下の懲役又は禁錮に処す。
三 其の他の場合に於て六日を過ぎたるときは二年以下の懲役又は禁錮に処す。
第七十六条 党与して前条の罪を犯したる者は左の区別に従て処断す。
一 敵前なるときは首魁は死刑又は無期の懲役若は禁錮に処し其の他の者は死刑、無期
   若は七年以上の懲役又は禁錮に処す。
二 戦時、軍中又は戒厳地境に在りて三日を過ぎたるときは首魁は五年以上の有期の懲役
  又は禁錮に処し其の他の者は六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処す。
三 其の他の場合に於て六日を過ぎたるときは首魁は一年以上七年以下の懲役又は禁錮に処し
  其の他の者は三年以下の懲役又は禁錮に処す。
第七十七条 敵に奔りたる者は死刑又は無期の懲役若は禁錮に処す。
第七十八条 第七十五条第一号、第七十六条第一号及前条の未遂罪は之を罰す。