「この近代の主要な論理であったディアレクティクは、権力奪取の論理であつて、
生活変革の論理でない。それは暴力によつて暫定する論理であるから、状態の
もつ活気を表はすイロニーとは異質な考へ方だつたのである。アジアの本有
の立場は、論理としてのディアレクティクを君子の正道とは認めなかつた。その
論理は、最も俗な芸能の掛合ひ万歳の世界に於て、芸能の約束の範囲内で許された
ものである」(保田與重郎『日本史新論』新潮社・1984年。p.48。執筆期ハ1961年
ナリ。解説者=桶谷秀昭氏ニヨル)

2004/12/03に加筆。
傍点のある部分を太字にする。