週刊将棋』2004.9/1号掲載の、鈴木大介八段(鈴木型振り飛車)とIS将棋(東大将棋・
プログラマーは棚瀬寧氏)との角落ち戦。鈴木八段の妥当勝ち(捌き合いではなく抑え込みという
形だが。角落ちだから当然そうなる)。戦後の鈴木八段のコメントが次。

終盤が強いとは聞いていたのですが、寄せ方は人間と違う感じがしました。また人間に
比べて角と桂の使い方がうまいと感じました。逆に言えば人間は金銀の使い方がうまいの
ですが、角や桂は苦手なのかもしれません。コンピューターは駒に好き嫌いがないようです。
いい勉強になりました。

ポイントとして二つ感じる。「寄せ方が人間と違う」、感覚として。それはおそらく
「コンピューターには駒の好き嫌いがない」。先入見がない。ないことが必ずしも良い
ことかどうかはまた別だが。その感覚の違いに、人間の定跡・筋のいまだの未踏性という
ところもあるのかもしれない。だから(か?)「いい勉強になりました」。
さらに「コンピューターは金銀の使い方は下手だが、角と桂との使い方が巧い」。
これは専門的な話(棋士の、また、プログラマーの。新聞記事によると、AI将棋(コンピューター
将棋一般としてここでは呼称する)は、相飛車などの縦系の将棋を得意とするが、振り飛車などの
横系の将棋をいまだ不得手とするらしい。そのことも関係する)だから、ちょっと、私の察する
ところは浅い。
話はずれるのだが、詰将棋のひとつのポイントは、持ち駒の駒と駒とのコンビネーション(組み
合わせ)にある。そのコンビの妙味によって、比喩でいえば1+1が3にも4にもなる。たとえば角と
香車との、角と歩との、角と飛車との、などの組み合わせである。それによって一気に詰め(寄せ)
の速度があがる。AI将棋のとき、そのコンビネーションについての感覚ははたして、どうなのか。
余談。Macを使っていたときは、AWars(=市村卓治氏)というシンプルだが味わいのある
フリーソフトがあったのだけれども、Winにはそれに相当する、軽いが"気味ある"ソフトがない。しかし
代わりといってはなになのだが、象棋(ここでは下棋=山本三男氏)のフリーソフトがあって、
暇つぶしには格好である。象棋(中国将棋)にも定跡書などがあって、旅行の際に入手すりゃあ
よかったな(試行錯誤の上、私はひとつしか未だ安定性のある構え=戦法を発見できていない)。
ネット書店でもありそうだが。